2024年12月27日

CSLベーリング社(CSLB)は、100年以上にわたり、希少疾患や重篤な疾患に苦しむ患者を支援するという創業以来の誓いを守り続けてきました。免疫不全および免疫機能障害の治療薬、ならびにRh血液型不適合予防薬、そしてショックや熱傷患者のためのアルブミン溶液の製造を専門としています。ベルンを拠点とするCSL Behring AG社のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるMartin Schären氏が、同社がどのように革新を続け、命を救う医薬品を提供し続けているかについてインタビューで説明しています。
CSLベーリング社は、スイスのベルン州に3億スイスフランをかけて、最新の免疫グロブリン製造工場(Protinusプロジェクト)を新設しました。
現在開発に取り組むプロジェクトのポートフォリオの中で、もっとも期待しているアセットは何ですか?
弊社の強力な研究開発(R&D)パイプラインは、血漿分画、遺伝子組換え技術、細胞および遺伝子治療に関する弊社の専門知識を駆使して、新たな改良製品を開発し、提供しています。これらは、免疫学、血液学、心臓血管・代謝、呼吸器、移植の5つの治療分野におけるアンメット・メディカル・ニーズに対応し、現在の治療を強化するものです。これらの各治療分野において、弊社の研究開発ポートフォリオは、非常に有望な期待できるアセットを多数有しています。
以下にその一例をご紹介します。
CoVIg-19高度免疫製剤
CoVIg-19アライアンスが参加している第III相試験は、2020年10月初旬に最初の臨床試験参加者を登録しました。完了までに数か月かかる試験ですが、成功すれば規制当局への申請の基盤となります。CoVIg-19高度免疫製剤は、COVID-19による重篤な合併症を有する個人を治療する可能性を秘めています。
急性心筋梗塞(MI)後の心血管疾患(CVD)早期再発に対するCSL112療法
弊社は現在、急性冠症候群の治療候補となる第III相試験を進めています。本試験は、心臓発作後90日間の高リスク期間におけるCSL112の有効性と安全性を評価するものです。
レンチウイルスを用いた造血幹細胞の遺伝子治療
弊社は数年前にカリミューン社から買収した、レンチウイルスを用いた遺伝子治療技術をさらに改良させています鎌状赤血球症(SCD)の治療のための最初の製品は、現在第I相試験中です。
同じ技術が原発性免疫不全症候群(Wiskott-Aldrich Syndrome)を治療する第二の製品にも使われ、数か月前に開発に着手しました。
CSLベーリング社は、パンデミックにおける希少疾患コミュニティの懸念に対処するためにどのような取り組みを実施しましたか?
学術界、産業界、政府との戦略的パートナーシップや協力のおかげで、弊社は公衆衛生の危機に迅速に対応することができました。患者様やそのご家族の皆様に支援とサポートを提供する通常のプログラムに加えて、パンデミックを通して、オンラインプログラムやメディアへの取り組みを強化し、関連会社全体で多くの活動やイニシアチブを導入しました。これらは特定の患者グループを対象にしており、現在の危機的状況における血漿の価値と希少疾患コミュニティとの関連性を浮き彫りにするものであります。
CSLBでは、新型コロナウイルスに立ち向かうための多くのプロジェクトが進行中です。
弊社は、COVID-19治療を目的とした高度免疫製剤の開発を目指し、同じくスイスのヌーテシャルに製造拠点を持つ、武田薬品工業株式会社とCoVIg-19アライアンスを共同設立し、10社を超える血漿製剤企業による前例のない業界パートナーシップを築き上げました。
アストラゼネカ社との提携により、CSLBは、オーストラリアで配布されるオックスフォード大学のワクチン候補を製造を予定しています。本ワクチンは、オーストラリアのメルボルンにある弊社の施設で製造され、2021年初めに初回接種が予定されています。
CSLBでは、オーストラリア市場向けに抗SARS-CoV-2血漿高度免疫製剤を開発しています。これは、COVID-19による重篤な合併症を持つ人々の治療に使用されます。臨床試験に向けた製造は、すでに開始されています。
弊社の経験から、スイスでは、納期遵守や、予算内および期限内の目標達成をスムーズに実現することができます。
CSLベーリング社は、スイスのベルン州に3億スイスフランをかけて、最新の免疫グロブリン製造工場(Protinusプロジェクト)を新設しましたが、ベルンを拠点として選んだ理由、また、スイスでの体験をお聞かせください。
設備投資場所の決定は、弊社のネットワーク戦略に含まれる拠点選択プロセスに基づいています。重要な考慮事項には、クリティカルマス、既存の技術的専門知識と能力、インフラストラクチャ、サプライヤーネットワークへのアクセス、規制リスク、政府と産業界の継続的関係、経済の安定性、相乗効果の可能性が含まれます。
Protinusプロジェクトに関しては、市場投入までの時間とベルンの拠点としての実績が決定要因でした。確かな実績は、信頼性、正確さ、質の高い仕事といった、スイスならではの美徳に結びついています。弊社の経験から、スイスでは、納期遵守や、予算内および期限内の目標達成をスムーズに実現することができます。
スイス・トランスレーショナル&アントレプレナー医療研究所(sitem-insel)では、弊社はベルンのインゼル病院の隣に研究開発拠点を構えており、製造現場の近くに科学の専門家が集まっていることを大変嬉しく思います。約70名の研究者からなる弊社の研究チームは、産学間の重要な対話を促進し、技術移転や業務提携、戦略的アライアンスのネットワークを推進しています。
CSLベーリングは、スイスのベルン州に、最新鋭の免疫グロブリン製造工場(プロジェクト「Protinus」)を新たに建設しました。投資先としてこの拠点はどのように選ばれたのでしょうか。また、スイスでの事業経験はいかがですか。
設備投資先の意思決定は、当社のネットワーク戦略の一環として実施される立地選定プロセスに基づいて行われます。主な検討要素には、一定の規模(クリティカル・マス)、既存の技術的専門性と能力、インフラ、サプライヤーネットワークへのアクセス、規制リスク、継続的な政府・産業界との関係、財務の安定性、そしてシナジーの可能性が含まれます。
プロジェクト「Protinus」に関しては、市場投入までのスピード(タイム・トゥ・マーケット)と、ベルン拠点の実績が決め手となりました。この実績とは、信頼性、精密さ、質の高い仕事といった典型的なスイスの美徳に通じるものです。スイスでの経験として、一般的に、期限を守り、予算内で目標を期日どおりに達成するために必要な労力が少なくて済むと感じています。
貴社の研究開発施設および地域統括本部は、スイスにあります。貴社のグローバル戦略において、スイスはどのような役割を果たしていますか?
スイスは、弊社のグローバルビジネスにおいて重要な役割を果たしています。ベルン拠点は、免疫グロブリン(Ig)のセンター・オブ・エクセレンスです。弊社が製造する治療薬は、企業の成功と堅実な成長における重要な原動力です。弊社のIg製剤、およびポートフォリオに対する需要は引き続き堅調であり、良好なパフォーマンスを維持しています。
研究開発は、世界最高水準の科学、技術、コラボレーションを進歩させることで、企業の持続的な成長を促進します。スイス・トランスレーショナル&アントレプレナー医療研究所(sitem-insel)では、弊社はベルンのインゼル病院の隣に研究開発拠点を構えており、製造現場の近くに科学の専門家が集まっていることを大変嬉しく思います。約70名の研究者からなる弊社の研究チームは、産学間の重要な対話を促進し、技術移転や業務提携、戦略的アライアンスのネットワークを推進しています。
スイスにおける研究開発への取り組み強化の一環として、BaseLaunch社とパートナーシップを締結しました。このパートナーシップは、バーゼルに本社を置く、最先端の治療薬を開発する若いベンチャー企業のためのアクセラレーター兼インキュベーターとなります。また、ヨーロッパ全体における潜在的な外部提携先を特定し、関係を構築するのに役立ち、さらには、スイスでの位置付けを強化することもできます。同様に、弊社の研究外部イノベーション(REI)チームは、ローザンヌのBiopôle社と共同研究を行い、研究開発と技術開発のさらなる機会を提供しています。
バイオ医薬品製造における課題やトレンドは何ですか?また、貴社の製造プロセスにおいてどのようなイノベーションを達成しましたか?
弊社の主な課題は、製造プロセスを継続的に最適化し、すでに高性能な施設でのプロセスリカバリを改善することです。効率的かつ効果的なサプライチェーン管理も弊社の成功において不可欠な要素であり、顧客やステークホルダーのニーズに迅速に対応できる機敏な組織を構築する必要があります。