Success Stories

欧州の中心から、オープンイノベーションに挑戦

2025年10月30日

有機ELディスプレイと電池技術のイノベーション推進拠点  - スイス

一世紀以上の歴史を持つ日本有数の石油会社である出光興産株式会社(以下出光興産)は、燃料油、基礎化学品、資源、電力・再生可能エネルギー、高機能材の事業をグローバル展開しています。高機能材料事業においては、1985年より、スマートフォンや大型テレビなどの次世代ディスプレイに活用される青色発光材料や有機ELの技術開発を牽引してきました。近年は、韓国と中国に製造拠点、スイスに開発拠点を構え、グローバルな事業拡大に注力しています。

 2017年に設立されたIdemitsu Research and Business Development Europe AG(以下IRBDE)は、2012年より有機EL技術開発の一環として進めていた出光興産とBASF社の共同開発から創設されました。BASF社は有機EL事業撤退を決定したものの、両社の技術力や開発力を活用し、新たな材料開発を継続・促進するため、出光興産はIRBDEを設立し研究員や研究施設を引き継いだのです。「BASF社の優秀な研究員を獲得し、同地で新たにグローバルな人材を採用できたことは大きなメリットです」と、出光興産電子材料部長である明田川正敏氏は述べています。IRBDEの従業員はスイスやドイツ、フランス、日本、台湾など11カ国と多岐に渡り、約30名の従業員が在籍しています。 

 

サイエンス分野における企業間コラボレーションや産官学プロジェクトを実施する事で、事業の多角化への足掛かりを得ることができます

出光興産は、地理的メリットを活かしたIRBDEの活用が、スタートアップ企業や大学、研究機関との新たなオープンイノベーションの取り組み拡大に繋がると考えています。2020年には、ベンチャーキャピタルのエメラルド・テクノロジー・ベンチャーズが運営するファンドに出資し、ネットワークを活用して欧州の研究者コミュニティとの連携を深めようとしています。重点分野のひとつとして挙げる全固体リチウムイオン電池の開発においては、「欧州は電気自動車の技術や動向に関して主導的な役割を果たしており、新たなテクノロジートレンドを生み出す自動車メーカーや関連する素材・部品メーカーも多く所在しています。そうした欧州の企業とは、オープンイノベーションのチームも含めて協業していきたいです」と、明田川氏は説明しています。リチウムイオン電池は、航続距離の拡大、充電時間の短縮、事故時の安全性向上等に寄与する次世代電池として期待されています。出光興産は、全固体リチウムイオン電池の主要材料である固体電解質の開発を進めており、同事業のための人材も新たに採用しています。

出光興産にとってスイス拠点であるIRBDEは、こうした取り組みを推進し、ビジネスチャンスを拡大するための理想的な場所となっています。明田川氏は「サイエンス分野における企業間コラボレーションや産官学プロジェクトを実施する事で、事業の多角化への足掛かりを得ることができます」と話しています。また、人材の面でもスイスの安定した労働環境により、期待に合うレベルの人材を世界各地から獲得することができます。このように、多様で専門的な人材の確保、グローバルな視点での情報提供、欧州をはじめとする世界の人材育成において、スイス法人は特に重要な役割を担っています。

2022年4月1日からIdemitsu OLED Materials Europe AGはIdemitsu Research and Business Development Europe AGに社名を変更しています。

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