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ソフトバンクが出資したEnergy Vault社の技術とは

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが総額1億1千万米ドルを出資したEnergy Vault社は、革新的な貯蔵発電所の開発を行っています。

貯蔵発電所イメージ
© Business Wire/Energy Vault

今回の出資を受けることにより、Energy Vault社は、再生可能エネルギー貯蔵を実現する同社の革新的な技術をグローバルに提供することが可能になります。ソフト・バンク・ビジョン・ファンドにとってはエネルギー貯蔵技術分野への初めての投資です。

この分野におけるパイオニアともいえるEnergy Vault社は、地形や特殊な地質的基盤に依存しない、世界で唯一のコスト効率に優れたエネルギー貯蔵システムの開発に成功しました。同社のハブ貯蔵発電所は、手頃な価格の複合ブロックで作られた巨大なタワーで構成されており、レンガブロックの重量はそれぞれが35トンにもなります。タワーの中央に設置された革新的なクレーン設計が、これらのブロックを上下に移動させ、下向きの運動が、蓄積されたエネルギーを損失なく電気エネルギーに再変換することを可能にします。このエネルギー効率こそが、水力発電システムとの大きな違いです。

エネルギー貯蔵タワー内の充放電プロセスの自律的制御には専門的なソフトウェアが使用されています。ソフトウェア独自のアルゴリズムで、エネルギー需給の不安定性、グリッドの安定性、気象の影響など、さまざまな変動要因を調整して管理します。

Energy Vault社は、2018年にインド最大の総合電力会社Tata Power Company Limited(本社:インド・マハラシュトラ州ムンバイ)の協力を受けて設立されました。同社は本年中にイタリア北部で35MWhの貯蔵タワーのプロトタイプを稼働させる予定です。さらに、大手建材メーカーCEMEX S.A.B. de C.V.(本社:メキシコ・サン・ペドロ・ガルサ・ガルシア)やCEMEX Research Group AG(本拠地:スイス・ビール / ビエンヌ)との緊密な連携を維持しています。

SoftBank Investment Advisers LimitedのAkshay Naheta氏は、「Energy Vault社は、長年の大規模な再生可能エネルギー貯蔵に関する複雑な問題を解決するでしょう。また、同社の技術が、環境を回復させながら再生可能エネルギーの経済単位を再形成するでしょう」と、コメントしています。

Energy Vault社CEO兼共同設立者のRobert Piconi氏は、同社プレスリリースで、「化石燃料に代わって24時間利用可能な再生可能エネルギーを開発するという使命を追求する中で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド社と提携し、我々のグローバルなプレゼンスを拡大できることを嬉しく思います。ソフトバンク・ビジョン・ファンド社は、エネルギー貯蔵技術のイノベーションを通じて気候変動に立ち向かう我々の情熱を共有しています。これにより、Energy Vault社は、現状で満たされていない、世界中の持続可能かつ経済的な大規模エネルギー貯蔵に対する需要を満たす準備を進めています」と、今回の投資の重要性を強調しています。

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