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コロナウィルスが露呈させたグローバル企業が抱えるリスク

新型コロナウィルスの世界的流行は、グローバル化によって相互依存している経済の脆弱性を露呈しています。米国とスイスで活躍するSuzanne de Treville教授は、企業の産業活動の欧米移転に関する専門家であり、今回の危機は、サプライチェーンの長期化に伴うリスクを喚起する機会として捉えています。

スイス・ヴァレー州で製造業務を行う人
Suzanne de Treville教授は、今回のコロナウィルスの危機が、世界のビジネスリーダーに向けた警鐘となることを願っています。©Etat du Valais, Céline Ribordy

わずか数週間で、コロナウィルスは我々の日常生活や世界経済を一変させました。ローザンヌ大学で高コスト環境における競争力を備えた製造分野を専門とする経営学教授のSuzanne de Treville氏は、この前例のない危機から学べる教訓をswissinfoのインタビューで共有しています。

「コロナウィルスの感染拡大が人々の生活と経済に与える影響は、ほんの数週間前には考えつかない対話を引き起こすほど深刻です。」と、説明します。「欧米の企業は、1990年代半ばから、中国や発展途上国に生産や運営の全てを移転し始めましたが、それに伴うリスクや依存性については深く考慮されていませんでした。今日では、当時の愚かな決断が、どのように行われていたのか、多くのビジネスリーダーから疑問の声が上がっています。」

de Treville教授は、Cost Differential Frontier Calculator(CDF)と呼ばれるツールを開発し、オフショアリングが予想外にコスト高であることを証明しています。このツールでは、量的金融により、サプライ・チェーンと生産リード・タイムの延長を含む再配置で生じる隠れたコストや過剰生産と製品保管関連コストなどの財務分析が可能です。

「高い生産コストと強い自国通貨でも、スイスは競争力を備えた産業を維持できるのか」という記者の質問に対し、「スイスフラン高にもかかわらず、スイス経済が好調であることは明らかです。これは、多くの企業にとって相殺しやすいポイントです。なぜなら、スイスは、若者は近代的且つダイナミックという魅力的な工場での勤務により、モチベーションや精度の高い労働力を備えているからです。世界有数の大学や研究機関に近いことも重要な利点です。例えば、私の研究では、スイスの柔軟性は、テクノロジー企業に約10%100%の付加価値を提供することがわかっています。そして、それには、輸送や行政手続など世界最高レベルのインフラは加味されていません。私たちは、既にスイスで競争力のある産業を発展させるために必要な要素を手にしているのです。」と説明しています。

危機によって露呈したグローバル企業が抱えるリスク。この危機を乗り越えた先には、今後の企業運営の大きな転換期が訪れるのではないでしょうか。

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