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これからの物流はブロックチェーンで

近年、チューリヒ経済圏内のブロックチェーンエコシステムは、単なる暗号通貨以上のものを創出しています。特に、物流分野におけるブロックチェーン技術は著しく進歩し、応用されてます。地域のブロックチェーン関係者は、より安全で、透明性が高く、効率的な物流プロセス構築というビジョンを掲げ、実現に向けて取り組んでいます。

SkyCell社は、温度調整を必要とする製品の輸送用航空貨物輸送コンテナを提供しています。
SkyCell社は、温度調整を必要とする製品の輸送用航空貨物輸送コンテナを提供しています。© SkyCell

チューリヒ経済圏は、ブロックチェーンイノベーションの発信地として急速に発展しており、その技術は、もはや暗号通貨だけに限定されることはなくなりました。新技術「Distributed Ledger Technology (DLT)」は、効率向上とコスト削減を実現する透明性の高いトランザクションを提供することで、物流業界に大きな変革をもたらしています。「物流バリューチェーン向上に向けて、様々な企業が統合する可能性も大いにあります」と、KORE Technologies(本社:スイス・ツーク)の共同創設者兼CEOで、ツークとチューリヒの事業所を統括するCarla Bünger氏はコメントしています。同氏は、物流分野におけるブロックチェーン技術の活用は、常に想定内でいたと話しています。KORE社は企業にビジネスモデリングサービスやソフトウェア実装支援を提供しており、物流プロセスの簡素化にも取り組んでいます。

効率的で安全性の高い物流プロセスへの大きな変革

物流業界におけるブロックチェーン活用の見通しは明るく、DLTによって、管理過程のデジタル実行を可能にすることに加え、多数の関係者が関わる場合における透明性高い取引を簡易化が可能になるとされています。「現在の平均的な輸送では、最終的なコストの2/3以上が管理過程に割り当てられています。しかし、透過的なブロックチェーンソリューションを使用すると、この管理上の非効率性を修正できると見込んでいます」と、Bünger氏は説明します。DLTはまた、医療品や医薬品などの偽造を防ぐ目的にも利用できます。KORE社が開発したソフトウェアでは、一度ブロックチェーンに登録された製品データは削除できないため、輸送物の安全性に貢献しています。

世界中で使用されているチューリヒ経済圏発のソリューション

KORE社の顧客でもある物流企業のSkyCell(本社:スイス・チューリヒ)社は、チューリヒに同社最大の拠点を構え、温度調節を必要とする医薬品などの航空貨物輸送コンテナを提供しています。温度管理という顧客のニーズに対応するため、KORE社が提供するブロックチェーン・ソリューションを活用しています。同システム導入により、貨物の状態の常時監視が実現し、状況に応じてリアルタイムの調整が可能になりました。将来的には、このプロセスをデジタル化し、コンテナに関する書類一式を1つのQRコードに置き換えることも可能となるでしょう。このようにグローバルに活動する企業はもちろんのこと、チューリヒを拠点とする果物の輸入業者であるBananen+Frucht AGなどの現地企業も、KORE社のソリューションによって物流チェーンを明確にマッピングすることで、業務効率を高める取り組みを行っています。

ブロックチェーンエコシステム構築のカギはネットワーク

KORE社のように、チューリヒでは多くの企業が大学との協力体制や交流を持ち、企業同士のネットワークも重要視しています。企業間の関係は友好的であり、ブロックチェーンエコシステム内での相互支援は、お互いの成功にも影響を与えています。「ここでは、多くの企業が互いに補完し合う良い力学が働いていいます」と、Bünger氏は述べています。

これは、企業同士の距離が短いことにも起因していると、Xatena社(本社:スイス・チューリヒ)共同創設者兼CEOのAndreas Heizmann氏は加えています。「様々な方面の関係者との緊密なネットワークのおかげで、優れた情報交流が実現しています」と加え、Xatena社と同様にサプライチェーンのデジタル化分野で活動する提携企業Modum社が「サイクリング距離圏内」に位置していることが、同社にとって大きな利点であると確信しています。Modum社の広報担当であるCaterina Beffa氏も同様の見解を示しており、「私たちはここでお互いに感謝し、尊重することで成り立っています」とコメントしています。

記事:Greater Zurich Area Ltd (GZA)によるSmilla Diener氏の記事を引用

 

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