ニュース

スイスのデータセキュリティ企業CYSECが欧州宇宙機関との契約を獲得

欧州宇宙機関 (ESA) は、政府データを衛星を介してエンドツーエンドで保護する技術開発に向けて、スイス・ヴォー州のサイバーセキュリティ企業CYSECと契約を締結しました。

CYSEC社は欧州宇宙機関(ESA)と契約を締結し、ESAのセキュリティ安全性における戦略的プログラム「ARTES 4S」の下で、衛星を介して交換される政府データのエンドツーエンドの保護のシステム開発を担います。©ESA
CYSEC社は欧州宇宙機関(ESA)と契約を締結し、ESAのセキュリティ安全性における戦略的プログラム「ARTES 4S」の下で、衛星を介して交換される政府データのエンドツーエンドの保護のシステム開発を担います。©ESA

セキュリティおよび防衛関連の政府通信(Govsatcom)やデータセキュリティにおいて衛星通信は重要な要素であり、監視、危機管理、基幹インフラ管理、国境管理、選挙監視な、さまざまな用途で利用されています。現在、政府通信の情報トラフィックは80%以上の割合で民間のアプリケーションの活用が占めています。2040年までにこのトラフィックは25倍に増加すると予測されているため、トラフィック増加に対応策の開発が急がれています。この状況を見据え、欧州宇宙機関 (ESA)は、スイス企業CYSEC社と、ARCAのセキュアOSによる暗号鍵交換プロトコルを改良し、商用の衛星通信リンクとの互換性を持たせることで、ARCAのTEE (Trusted Execution Environment)契約を締結し、エンドツーエンドの情報セキュリティの確保を目指します。

スイス・ヴォー州に拠点を置くサイバーセキュリティ企業CYSEC社によって開発されたソリューションは、政府通信ユーザーが情報交換の精度を保ちながら最高レベルのセキュリティの恩恵を受け、衛星通信サービスの利用を可能にします。このシステムはCYSEC社が全面的に主導し、armasuisseのCyber Defense Campusの支援を受けて実施されます。このESAとの契約は、宇宙インフラがデータ処理・伝送において重要な役割を果たしており、宇宙産業におけるセキュリティ事業はまだ初期段階にあることを示しています。

スイスのイノベーションを代表するプロジェクト

スイス・イノベーション・パーク・ウエスト EPFLのネットワーク内のEPFL Innovation Parkに拠点を構えるCYSEC社は、欧州では機密データ保護のリーディングカンパニーとして位置づけられており、その専門性の高さと豊富なパートナーシップによって、ARCAのセキュアOSは、宇宙空間でのデータ保護準備が整いました。

CYSEC社で宇宙活動部門を統括するMathieu Bailly氏は、「データセキュリティは今世紀の課題であり、政府データは間違いなく最も機密性が高い情報の1つであるため、ESAとの契約を締結できたことは光栄です。私たちの目標は、エンドツーエンドの情報保護を提供にあたり、商用衛星リンクの両側にCYSECデータセキュリティ技術であるARCAを実装することです。また、armasuisseのCyber Defense Campusによる研究技術を活用し、情報伝達パフォーマンスへの影響を最小限に抑えることに取り組みます。このプロジェクトはスイスのイノベーションを代表する例となることでしょう」と、コメントしています。

事業拠点としてのスイス

事業拠点としてのスイスの優位点、スイスの投資環境、生産コスト、税制、インフラや新技術、ファイナンスや法務など、会社設立に必要な情報をまとめたハンドブック(全168ページ)を、ぜひご一読ください。

リンク

共有する