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シンヘリオン社とセメックス社が世界初ソーラーコンクリートの製造へ

シンヘリオン社が世界初となるソーラークリンカーへプロセス熱の供給を行いました。 スイス・ティチーノ州に拠点を構える持続可能な太陽光燃料のパイオニアとして知られる同社は、セメント製造大手セメックス社と共同でスペインに設置されたパイロットプラントでセメント製造を開始し、完全なる太陽光発電セメント工場開発への第一歩を踏み出しました。

セメックス社とシンヘリオン社は、スペインのImdea Eneryg Research Instituteに設置されたソーラータワーを活用し世界初ソーラークリンカーを製造しました。©Synhelion
セメックス社とシンヘリオン社は、スペインのImdea Eneryg Research Instituteに設置されたソーラータワーを活用し世界初ソーラークリンカーを製造しました。©Synhelion

ティチーノ州・ルガーノに本社を構えるSynhelion社は、2020年に世界大手のセメント製造メーカーCemex社(本社:メキシコ・ヌエボ・レオン州モンテレイ)と共同で世界初のソーラークリンカーを製造しました。両社が発表した共同プレスリリースよると、この”革命的なイノベーション”は、”太陽光エネルギーのみで運営するセメント工場”開発への第一歩を示すとしています。シンヘリオン社CEOで共同設立者であるGianluca Ambrosetti氏は、セメックス社と共同で「再生可能な高温太陽エネルギーのみで特定産業事業を運営した事例」を示すことができたことを誇りに思っています。

シンヘリオン社は、スイス連邦工科大学チューリヒ(ETH)からスピンオフし、2016年に設立された企業です。同社が開発したソーラー燃料技術は、将来的にあらゆる種類の化石燃料に取って代わることを目標に掲げています。同社の技術により、集光された太陽光は「現市場で最も高温 (1,500°C以上) で供給可能な太陽光プロセス熱」 に変換されます。一方、セメックス社は、2050年までに二酸化炭素を排出せずに世界へコンクリートを供給する企業となることを目指しています。この戦略において重要な役割を果たしたのは、同社が展開し、ベルン州・ブルックに立地するCEMEX Venturesと、同じくセメックス社が運営するResearch and Development Centerです。

両社の研究チームは、スペイン・マドリードのImdea Eneryg Research Instituteにパイロットプラントを建設し、シンヘリオン社の太陽光集光装置は太陽光を利用して1,500°Cを超える記録的な温度を実現しました。この温度は、気体の熱伝達流体が加熱され、石灰石や粘土を含む材料を融合に必要なプロセス熱を提供することで達成します。同プロセスで製造されたクリンカーは、セメント製造工程で使用され、コンクリートに加工されました。シンヘリオン社とセメックス社は、共同研究開発プロジェクトの次段階として産業規模のパイロットプラント設置に向けて準備を進める見込みです。

シンヘリオン社は昨年開催したイベント「SWISSTECH IN JAPAN 2021-SWISSTECH IN JAPAN 2021-ビヨンド・ゼロの社会を目指して」でその技術を紹介しており、日本企業との協業にも意欲的です。

 

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