都市環境向け商用ドローン配送システム開発のリーディングカンパニーであるMatternet社が、スイス・チューリヒで試験運用を開始しました。同社が開発したドローンは、チューリヒ市内に立地するTriemli病院とWaid病院間で診断用サンプルをわずか7分で輸送します。チューリヒ市が運営するチューリヒ中央病院(Stadtspital Zürich)に属する両病院は、以前はサンプルの輸送に渋滞の激しい道路を利用する地上交通に頼ってきました。
Matternet社が発表したプレスリリースによると、両病院間輸送は、大都市上空におけるドローン配送ルートとしては世界最長とのことです。自律的に動作するMatternet社製のドローンは、チューリヒ市内で同社が独自に運営するミッションコントロールセンターから遠隔監視され、「エンドツーエンドの安全な保管体制」による医療品輸送を実現します。
Matternet社は米国連邦航空局(FAA)から型式証明書と製造証明書を取得しました。これにより、同社は米国内で商業用配送ドローンを製造し飛行運営するために必要なFAAの許可を得た最初の企業となります。
Matternet社の創業者兼CEOであるAndreas Raptopoulos氏は、「スイスは、大規模なドローン配送事業において世界で最も進んだ国の1つとして確立しています」と、プレスリリースでコメントを発表し、「チューリヒの新ルートは、過去5年間にこの地で経験した成功体験を基に築かれたもので、欧州や米国のみならず、その他の国々でも同様のネットワークの基盤となり、都市部における医療ネットワーク構築への知見創出に役立つと確信しています」と強調しています。