2022年12月、スイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)は、ヴァレー州シオンに立地するEPFL Valais Wallis開設合意から10周年を祝し、新たに「Alpole」ビルを公開しました。Alpoleはエナジーポリス・キャンパス内に建設され、高地や極地の環境研究拠点となる見込みです。
Energypolis Campusには、EPFL Valais Wallis、HES-SO Valais/Wallis、アーク財団が拠点を構えています。ヴァレー州への展開として第2段階ともいえるAlpoleの開設により、EPFLは同校の成長戦略における新たなマイルストーンに到達したといえます。ヴァレー州経済開発局長のChristophe Darbellay氏は、「Alpoleの開設により、ヴァレー州は、気候変動という課題に向けた新技術開発の拠点としての存在感を高めることができます」とコメントしています。
EPFLはさらに、Alpole開設に加え、同地に新たな研究拠点の建設計画も発表しています。EPFLのMartin Vetterli学長は、「EPFLは、大学が有する専門知識を気候変動対策に活用することを優先課題の一つとしており、シオンの新研究所は、2040年までのカーボンニュートラル達成に向けたクリーンエネルギーの生産、貯蔵、流通などのシステム開発に焦点を当てます」と述べています。
新たに建設予定の研究所は、Alpoleで行われる気候変動対策研究を補完・強化するもので、開設時には新たにEPFL Valais Wallisの4種の研究部門が設置される予定です。
150人以上のエキスパートが集う理想的なテスト環境
Alpoleは、高地や緯度の高い地域の敏感な生態系に地球温暖化が及ぼす影響を重点的に研究する新研究施設です。 そのため、アルプスに囲まれるヴァレー州は同研究の理想的なテスト環境を提供します。設備の建設資金はヴァレー州とシオン市から提供され、エナジーポリス・キャンパス全体で総額4億1千万スイスフランが投資され、そのうちAlpole建設に5,855万スイスフランが費やされました。AlpoleではEPFLの8研究室に所属する150 - 180人の専門家が研究に従事し、Swiss Polar InstituteとInterdisciplinary Center for Electron Microscopyの研究もおこなわれる予定です。