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日本とスイスから考えるサーキュラーエコノミー

気候変動など環境問題の改善を目指す動きから、脱炭素やサーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みが世界的に加速するなか、早くからサーキュラーエコノミーへに関する政策が実施されている欧州の取り組みと、日本の技術力の融合が、このグローバルな社会課題解決の一助になるかもしれません。日本企業が国境や地域を越えて目指す循環型経済の実現に向け、スイス企業との連携・投資、スイス拠点設立のメリットを考察しました。

7月14日 「スイスと欧州から実現させるサーキュラーエコノミー」をオンラインで開催。
7月14日 「スイスと欧州から実現させるサーキュラーエコノミー」をオンラインで開催。

2021年7月14日、「スイスと欧州から実現させるサーキュラーエコノミー」をオンラインで開催いたしました。本セミナーでは、日本とスイスの両国から7名が登壇し、スイスの循環型経済の枠組みや企業動向、先進的に取り組む企業の技術紹介から、スイスでのイノベーション活動における優遇税制まで、多方面から有識者が集い、議論を交わしました。

冒頭に本セミナー主催の在日スイス大使館 スイス・ビジネス・ハブ 日本代表 クラウディオ・マツケリより開会挨拶を述べ、同じくスイス・ビジネス・ハブ 投資促進部長 松田俊宏より、スイスでの事業設立環境をご紹介しました。その後、ecos プロジェクトマネージャー Circular Economy Switzerland 創設メンバー ヘドウィッヒ・シャールリップ氏が、スイスの循環型経済枠組みや欧州における立ち位置、また、日本企業にとってスイスで循環型経済活動を行うメリットを解説しました。次に、KPMG税理士法人 インターナショナルコーポレートタックス部門 パートナー 日本国税理士 三浦晃裕氏、および、KPMGスイス パートナー ファミリーオフィス/プライベートクライアントサービス統括 ユーグ・サロメ氏により、日本企業がスイスで事業活動を行う際の留意点や特筆点をご説明いたしました。

続いて、クライムワークス AG チーフコマーシャルオフィー ダニエル・エガー氏が同社の持つダイレクトエアキャプチャ技術を紹介し、日本企業へのサービス提供の提案を行いました。その後、H2エナジーホールディングAG 会長 パトリック・フーバー氏による、水素燃料電池トラック事業におけるアジア企業との提携事例を解説し、脱炭素に向けた取り組みの実例を紹介しました。

世界的に関心が高まる循環型経済活動において、既に実証実験やサービス提供に取り組むスイス企業にとっては、国際的パートナーの存在は必要不可欠です。日本企業にとっても既存の欧州事業の継続と発展には、循環型経済活動を踏まえていく必要性が高まるばかりです。研究開発拠点や事業拠点の設立における優位性のみならず、一般にビジネスにおけるレジリエンスも高いスイスは、日本企業の欧州展開活動を強力にバックアップいたします。ぜひ、サーキュラーエコノミー活動を踏まえた事業展開を、スイスの利点を存分に活用して実現させていただきたいと願っています。

セミナーには420名以上の方々がアクセスいただき、講演中に寄せられた視聴者からの質問も取り上げて時間の許す限りライブ回答するなど、オンライン開催ならではの交流の場となりました。当日の様子は本ウェブページ下部よりビデオでご視聴いただけます。
 

日本企業向け特別レポート「スイスの循環型経済」

現在の直線型経済モデルは「take-make-waste」の原則に支配されています。その結果、生態系や天然資源への圧力が増しています。直線型経済モデルは、資源不足や資源の浪費を生み、最後には気候変動や生物多様性損失などの環境危機が生じます。人類は地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)を超えつつあり、これにより大規模かつ急激な、または不可逆的な環境変化が起こるリスクが増大しています。地球の限界内に留まるために、先進工業国は、どのような資源消費量を減らす努力が必要でしょうか。その答えの一つとなる経済形態が、「循環型経済」です。

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