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産業オートメーションからバイオテクノロジーまで - J-BIGインタビュー④ -

スイス・イノベーション・パーク・バーゼルに拠点を置くヨコガワ・イノベーション・スイス(YIS)は、大手メーカーである親会社のリソースを活用しながら、新事業の創出を目指しています。現在社員は2名。なぜ、スイスで新事業立ち上げに至ったのか、YIS社長の澤井恒治氏にお話を伺いました。

左から、社長の澤井恒治氏とCSO(チーフサイエンスオフィサー)の野島大佑氏
左から、社長の澤井恒治氏とCSO(チーフサイエンスオフィサー)の野島大佑氏

ヨコガワ・イノベーション・スイス設立の経緯を教えてください。
当社の親会社にあたる横河電機(以下、横河電機)は、100年以上の歴史と豊富な海外実績を持ち、数十億ユーロを売り上げる工業機器メーカーです。主に、製造・重工業におけるオートメーション事業を中核とする一方で、将来的には医薬品産業及び食品・飲料産業にも注力していく予定です。今後の成長が見込めるだけでなく、私たちが強みとするバイオテクノロジーを活かせる分野であり、この新しい事業領域での発展を加速させるべく、YISは2020年に設立されました。

スイス拠点における事業目的について詳しく教えてください。
私たちの目的は、主に3つあります。1つ目は、市場調査を通してバイオテクノロジーの世界的なエコシステムへの理解を深めることです。2つ目は、研究開発プロジェクトを立ち上げ、潜在的なパートナーシップを見出すことです。最初のパイロットプロジェクトについて意見交換をするために、既に大学やベンチャー企業と連絡を取っています。そして3つ目は、有望なビジネス機会の獲得です。私たちはこの分野に参入したばかりで、キャパシティには限界があります。だからこそ、プロジェクトを選ぶときは、その実現可能性と、将来的に発展性の高い事業であるかを熟考する必要があるのです。

なぜスイスを拠点として選んだのですか?
スイスはオープンイノベーションが進んでおり、世界中から優秀な人材が集まっています。また、経済活動が非常に国際的で、スイス市場を越えてさまざまな分野における情報を獲得できることも魅力のひとつです。さらに、スイス、特にバーゼルは、私たちがターゲットとしている産業、すなわち医薬品産業及び食品・飲料産業のハブでもあります。それだけでなく、スイス・イノベーション・パーク・バーゼルは、私たちをあたたかく迎え入れ、非常に丁寧な対応をしてくれました。サポートも手厚く安心感があり、一緒に仕事ができて光栄です。職員の方々の助けを借りることで、スイスでの事業活動は成功すると確信しています。

スイスと日本の文化に共通点はありますか?
性格がよく似ていると思います。日本人と同様にスイス人も謙虚で、人間関係や信頼、長期的思考を大切にします。しかし、違いもあります。スイスでは、4つの言語が公用語として共存しており、小さな国でありながら多様性に富んでいます。したがって、スイス人は異なる考え方を理解し、受け入れようとする習慣が身についており、オープンイノベーションを促進するには最適な環境だと考えています。

スイスにおける今後の事業計画を教えてください。
横河電機は、以前から共焦点顕微鏡やイメージサイトメーターなどバイオ関連製品を開発しています。現在当社は、これらの技術を相互に利益のあるビジネスチャンスに発展させる協業パートナーを募集しています。そして、長期的にはバイオテクノロジーが横河電機の事業の新しい柱となることを期待しています。

ヨコガワ・イノベーション・スイスについて詳しくはこちら
 

 

J-BIG - Japan Business in Germany - 第6回記事より引用
配信元:   Storymaker Agentur für Public Relations GmbH
発行者:   Björn Eichstädt
編集者:   Nina Blagojevic

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