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新製品・新規事業の創出を目指し、スイスへ 

スイス・イノベーション・パーク・ネットワーク・ウエスト・EPFL(SIP ネットワーク・ウエスト・EPFL)が提供する「Academia Industry Collaboration(AIC)」プログラムを活用している日本ガイシ株式会社の担当者にインタビューしました。

写真左:日本ガイシが開発した超小型のリチウムイオン二次電池EnerCera(エナセラ)。これまで活用できていなかった身のまわりの微弱なエネルギーを集め、ずっと動き続けるメンテナンスフリーの電源システムを提供する画期的なIoT用蓄電池。カーボンニュートラルとデジタル社会の実現を同時に叶える新製品として、岩井氏が拡販に取り組む製品の一つ。写真右:SIP・ネットワーク・ウエスト・EPFLの担当者と岩井氏。
写真左:日本ガイシが開発した超小型のリチウムイオン二次電池EnerCera(エナセラ)。これまで活用できていなかった身のまわりの微弱なエネルギーを集め、ずっと動き続けるメンテナンスフリーの電源システムを提供する画期的なIoT用蓄電池。カーボンニュートラルとデジタル社会の実現を同時に叶える新製品として、岩井氏が拡販に取り組む製品の一つ。写真右:SIP・ネットワーク・ウエスト・EPFLの担当者と岩井氏。

 

日本ガイシ株式会社(本社:愛知県名古屋市)は世界20ヶ国以上に拠点を構え、自動車排ガス浄化用をはじめとする各種産業用セラミック製品や電力関連機器、金属素材など多岐にわたる製品の製造・販売を行っています。1919年の創立以来SDGs的発想を持ち、さまざまな社会課題の解決に貢献するセラミック製品を世界中に提供し続けてきました。現在は特に、自然環境と人間が共生する「カーボンニュートラル」、安全で便利・快適で健康に暮らせる「デジタル社会」関連を注力分野と位置付け、新製品・新規事業の創出に注力しています。

スイス・ビジネス・ハブと日本ガイシ株式会社 研究開発本部 次世代技術戦略室でマネージャー(当時)を務める岩井真氏が最初に面談の機会を設けたのは、コロナ禍の2021年2月でした。岩井氏はドイツ赴任が内定していたものの、感染拡大防止による渡航制限で渡独日の延期が続き、日本から欧州における新材料や新技術を調査し、欧州での活動に向けた情報収集を実施している状況でした。現在、同社はスイス・イノベーション・パーク・ネットワーク・ウエスト・EPFL (SIP ネットワーク・ウエスト・EPFL)が提供するプログラム「Academia Industry Collaboration(AIC)」を活用し、研究機関等との連携に向けて準備を進めています。現在はドイツ駐在員としてNGK Europe GmbHに勤務する岩井氏が、スイス・イノベーション・パークでの会議に参加するために出張された際にインタビューに応じていただきました。

 

スイス・ビジネス・ハブ:R&D事業の一環で新素材や新技術発掘を見据えた際に、スイスも探索するきっかけがありましたら教えてください。
岩井氏:きっかけは展示会の弊社ブースにスイス・ビジネス・ハブの方が来てくださったことです。私自身の欧州赴任が内定していましたので、いいタイミングでした。そこから面談等を重ねて事前に情報収集をすることができ、赴任後すぐにスイス・イノベーション・パークとの面談を設定いただきました。その後こうしてSIP ネットワーク・ウエスト・EPFLと契約し、定期的にスイスを訪問しています。

スイス・ビジネス・ハブ:実際にドイツに赴任し、スイスの研究機関との連携を進めるにあたり会議を重ねていると思いますが、欧州やスイスの印象は改めてどう感じていますか。
岩井氏:オンライン会議が普及しているとはいえ、ウェブ上での議論も限界があるので、実際にお会いして話をすることで、人脈を大切にする欧州の文化を改めて感じましたし、対面での議論の効率性や必須性を実感しました。また、一般論にはなりますが、欧州人は常にプライベートも充実させることに重きを置いているので、「やっぱり、日本人は働きすぎだなぁ(笑)」と日本とのビジネススタイルの違いを感じています。

スイス・ビジネス・ハブ:欧州赴任前の情報収集につきまして、スイス・ビジネス・ハブが提供するセミナーやイベントはどのように活用されましたか。
岩井氏:AICプログラムの契約のための会社側への説明材料として、日本で開催されるセミナーやウェブサイトで提供されている情報が役立ちました。

スイス・ビジネス・ハブ:今回契約に至ったAICのようなプログラムは、ドイツの大学や研究機関などでも同様なものが提供されているのでしょうか
岩井氏:ドイツにはフラウンフォーファー研究機構やマックス・プランク研究所などの有名な研究機関がありますが、伝手を頼ったコンタクトが主となり、実際に研究者との面談に至るまで時間がかかることが多いです。そういった観点では、このAICプログラムや担当者の方々のコーディネートは素晴らしく、事前に伝えてある希望や目的に見合った内容の調整を試みてくれています。昨日も太陽電池の研究で有名な教授と2時間もディスカッションの時間を設けていただけました。もし、個人で面談を打診していたら、返事すらもらえなかったのではないかと思っています。コーディネーターが動いて調整することの重要性を感じています。まずは、このプログラムを活用することで、なるべく多くの研究者との面談を持ち、欧州でNGK、日本ガイシの認知度を上げることを当面の目標にしています。そして、プログラムの成果として、いずれは共同研究や協業等を開始できればと考えています。

スイス・ビジネス・ハブ:プログラムの費用面での感想はいかがですか。
岩井氏:こうやって、企業と研究者の間に入って各種調整やアテンドしてくれる労力を考えると非常に納得のいくサービスだと思います。

スイス・ビジネス・ハブ:スイス国内には他にもスイス・イノベーションに加盟する研究機関が多くありますが、今後の展望としてはどのようにお考えですか。
岩井氏:弊社はカーボンニュートラル技術にも注力しており、SIP ネットワーク・ウエスト・EPFL内でヴァレー州シオンに立地するエナジーポリス・キャンパス(Energypolis Campus)などのエネルギー関連の研究機関も訪れたいと考えています。また、AICに参加している他の日本企業や他国企業とのネットワークを広げ、連携や共創で相乗効果が図ることができればいいと思っています。
 

インタビュー時にはスイス・イノベーション・パーク・ネットワーク・ウエスト・EPFL側の担当者も同席し、岩井氏と笑顔で会話を交わす様子に、両者の良好な信頼関係を垣間見ることができました。また、それほど違和感なくスイス側担当者と共に会議席に座ってお話しいただく岩井氏の姿にも、ご経験の豊富さが滲み出ており、今後の展開に一層期待を寄せたひと時でした。

 

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スイス・イノベーション・パーク・ネットワーク・ウエスト・EPFL 
Academia Industry Collaboration(AIC)プログラム

SIPネットワーク・ウエスト・EPFL内の研究機関や入居企業と、下記のような連携可能性を希望する企業にオーダーメイドのサービスプログラムを提供しています。
・スイスのスタートアップとの連携
・大手スイス企業やスイスの中小企業との連携
・スイスの研究機関との連携
・PoC実施

AICプログラムに含まれるサービス
SIP ネットワーク・ウエスト・EPFL内のシェアスペースにデスクを設置
・研究機関との連携に向けたワークショップを提供
・研究開発戦略立案のコンサルティング
・スイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)をはじめとする研究機関との連携プログラム立案
SIP ネットワーク・ウエスト・EPFL内で開催されるイベント、デモ、プレゼンテーションへの参加
・専任担当者による個別サポート

プログラム料金
・CHF1,500~

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