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食を再考する - J-BIGインタビュー③ -

欧州屈指の日本企業コミュニティが存在するドイツ。その隣国としてのスイスは、在独日本企業にとって、市場へのアクセスはもちろん、身近にビジネスの付加価値を高められる場所として活用できる存在です。スイス・ビジネス・ハブは、ドイツを中心に在欧州で日本とのビジネスに携わる人々を対象としたメールマガジン「J-BIG」にスポンサーとして協力し、毎号スイスにおけるビジネスインタビューを掲載しました。第3回コラムは、スイス・フード&ニュートリションバレー(Swiss Food & Nutrition Valley)でマネージングディレクターを務めるクリスティーナ・セン=ヤコブセン氏へのインタビューです。

©Swiss Food Nutrition Valley
©Swiss Food Nutrition Valley

「食生活はこれからどう発展していくのか。」 この問いを中心に、スイスのローザンヌにある「スイス・フード&ニュートリションバレー(SFNV)」は展開されています。今回は、同協会が行う率先した取り組みや日本企業の参加について、代表のクリスティーナ・セン=ヤコブセン氏に伺いました。
 

スイス・フード&ニュートリションバレーの概要について教えてください。

クリスティーナ・セン=ヤコブセン氏:今の時代の最大の課題のひとつは、持続可能な健康な食を世界に届けることです。この課題は企業や政府が独自に解決できるものではありません。互いに協力し合うことこそが成功への鍵であり、まさに私たちが実行していることです。スイス・フード&ニュートリションバレーには、学者や企業、投資家、スタートアップ、政府、州、そしてイノベーションプラットフォームや支援団体が集まっています。私たちの役割は、このイノベーションエコシステム内での対話を促進させ、そこから創出される有望なプロジェクトを支援することです。

 

現在、どのようなテーマに取り組んでいますか?

クリスティーナ・セン=ヤコブセン氏:代表的な例として「代替タンパク質」に関するテーマが挙げられます。遺伝子や栄養、健康との関係などを複合的に考える必要があります。さらには、食品包装や物流から精密農業におけるハイテクソリューションまで、製品のライフサイクル全体を視野に入れることが重要です。企業活動の例でいえば、バイオテクノロジー(生物工学)及びグリーンケミストリー分野で活躍し、スイスのイノベーション・ドライバーともいえる Embion Technologies社と日本のアサヒグループホールディングス社は、新しい動物用飼料の共同開発に取り組み、抗生物質を使用しない農業の実現を目指しています。

 

スイスが食品業界のイノベーションに適している理由を教えてください。

クリスティーナ・セン=ヤコブセン氏:何かひとつの特徴が際立つというより、必要な要素がすべてここに集まっているという事実が決定的な理由です。食品業界には多くのノウハウを持つ多国籍企業が存在し、例えば、スイス・フード&ニュートリションバレーの設立メンバーのネスレ社もそのひとつです。スイス・フード&ニュートリションバレーは、世界トップクラスの研究者と活気に満ちたスタートアップカルチャーを兼ね備えており、栄養や農業、植物性タンパク質に関する豊富で革新的なアイデアに溢れています。それに加えて、スイスはこういったプロジェクトに十分な資金提供を行っています。

 

日本とスイスの食事は大きく異なりますが、共通点も見られますか?

クリスティーナ・セン=ヤコブセン氏:料理に限って言えば共通点はあまり見られませんが、高品質な食品に対する価値観は似ています。私は一時期日本に住んでいましたが、食に対する姿勢には感服しました。スイスもまた、品質に価値を置く点で共通しています。我々と同様に、革新的なアイデアと世界を動かす投資家や優秀な若手人材の活躍により、日本や日本企業も世界的な「食」の問題解決に貢献できると信じています。

スイス・フード&ニュートリションバレーについて詳しくはこちら、または、Bild entfernt.クリスティーナ・セン=ヤコブセン氏に直接お問い合わせください。
 

 

J-BIG - Japan Business in Germany - 第4回記事より引用
配信元:   Storymaker Agentur für Public Relations GmbH
発行者:   Björn Eichstädt
編集者:   Nina Blagojevic

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