世界的パンデミックに見舞われた現在、スイスでも店頭での消毒剤の購入が難しくなっています。この問題の解消に向けて、1889年にスイス・ヴァレー州マルティニーに設立された家族経営のMorand Distillery社が、自社で取り扱う洋ナシの搾りかすの一部を手消毒用ジェルに変換するというアイデアの製品化に取り組みました。同社取締役のFabrice Haenni氏は、フランス語日刊紙Le Nouvellisteの取材に、「現在の消毒剤不足から生じる高い需要を考えると、何かできることをするのが重要だと考えました。我々のアイデアで、人々の健康全般を支援するために企業として役割を果たすことが可能です」と、説明しています。
Morand Distillery社は、消毒剤の開発にあたり、連邦公衆衛生局のガイドラインに準拠していることを確認しました。ガイドラインによると、消毒剤はその効果を果たすためにはエタノールの含有量が70‐80%必要とされています。同社蒸留所で製造した消毒剤は原料不足のためエタノール含有量は少ない分をシュナップスに含まれるアルコールで補っており、100mlの消毒剤には約1kgのヴァレー州産の梨が使用されています。
同社は、低価格の梨リキュール数千リットルを、安価なアルコールを使用した消毒剤開発を行う研究所に提供するなど、自社製品製造以外にも現状の消毒剤不足の解消に向けた取り組みを進めています。