ジュネーブ湖畔に位置する宇宙・船舶工学企業Almatech社が開発した「ZESST」は、水路を利用する公共交通機関のための「ゼロ・エミッション・スピード・シャトル(排出ガスのない高速シャトル)」です。
このシャトルには、水素燃料電池、高密度バッテリー、超軽量のキャビンおよび船体構造のほか、最適化されたプロペラを備えた超小型の魚雷型電気モーターを搭載した格納式フォイルなど、多くの最先端技術が搭載されています。
「ZESST」にとって日本は重要な市場であるため、Almatech社は2025年大阪万博をこの革新的なシャトルを展示する絶好の機会と考えています。さらに、世界的に見ても海上輸送は温室効果ガス排出量を削減しなければならないセクターの一つです。
多くの国々、とりわけ四方を海に囲まれた島国である日本は、地球温暖化を防止するため海上輸送の分野において迅速かつ具体的に行動する必要性を認識しています。Almatech社のゼネラルマネージャーであるHervé Cottard氏は、「数あるZESSTの利点を理解いただきe5 ラボ社のような重要なパートナーとの合意に至ったことは、大きな前進です」と歓迎の意を表明しています。
株式会社e5ラボ(本社:東京都千代田区)は、旭タンカー、エクセノヤマミズ、商船三井、三菱商事の各社で構成される日本のジョイントベンチャーです。2019年に設立された同社は、日本の海運および産業全般が近い将来直面する可能性のある重要な課題に取り組み、解決することを目的として、電気、環境、進化、効率、経済の5つの分野で「eバリュー」を提供することを目指しています。
Almatech社は2009年にスイス・イノベーションが運営するEPFLイノベーション・パーク内で設立されました。これはスイス企業のみならず、各国のグローバル企業が、スイス連邦工科大学、研究所、スタートアップと知見を共有しながら革新的新技術の創出と商用化を実現するプラットフォームです。日本企業の参画も近年顕著です。
ZESSTの開発に3年を費やしたAlmatech社の次なる課題は、2025年に導入を目指す100人乗りシャトルの開発に向けた資金(約3,000万スイスフラン:製造と認証工程を含む)や日本でのシャトル製造のための技術協力者の確保です。現在積極的に出資者や水素燃料電池、エンジンの供給者を募集しています。