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持続可能な建設のマイルストーン

スイスで最大規模となる高濃度CO2コンクリートを用いた建築工事が始まりました。これは、スイスのHolcim社がV-ZUG社が新設する生産拠点に供給しているもので、CO2濃縮技術はスタートアップのneustark社が提供しています。

Tech Cluster Zug内に建設中のV-ZUG社新施設のドローン画像。©Tech Cluster Zug
Tech Cluster Zug内に建設中のV-ZUG社新施設のドローン画像。©Tech Cluster Zug

スイス・チューリヒ経済圏のTech Cluster Zugに立地する家電精密機器メーカーV-ZUG社(本社:スイス・ツーク州)が新設する製造・組立拠点の建設プロジェクトはZephyr Ostと呼ばれ、高濃度CO2コンクリートを使用する建造物としてはスイス国内最大規模のものとなる見込みです。建設を担当するのはセメントメーカーのHolcim社(本社:スイス・ツーク州)で、同社の再生コンクリートはneustark社が提供するCO2を高度に濃縮する技術を用いて製造されています。Holcim社プレスリリースによると、建築工事は2021年11月17日に始まり、2023年の施設稼働を目指しています。

この環境に配慮したコンクリートには、スイスが排出したCO2が使われています。2019年にスイス連邦工科大学チューリヒ校 (ETH)からスピンオフし、現在はベルン州に立地するスタートアップNeustark社は、ara region bern AGが運営する下水処理施設からCO2を回収しています。

コンクリート製造に必要な再生粒状物はスイス・ニトヴァルデン州オーベルドルフの再生処理施設Arge EvoRECによって調製されています。Arge EvoRECはHolcim Kies und Beton AGとZimmermann Umweltlogistik AG(本社:スイス・ニトヴァルデン州)による合弁事業で、neustark社のドライプロセスを用いてCO2を濃縮化します。この技術は数カ月間テスト期間を経て、現在は既に商業的に活用されています。

使用予定の4,200m3の再生コンクリートに71トンのCO2を濃縮化させることで、従来の工法に比べ、年間3,500本分のモミの木によるCO2吸収量に相当するCO2削減を実現します。

Holcim社のコンクリート製造部門を統括するGiovanni Barbarani氏は、「neustarkの革新的な技術を用いて、環境に配慮した循環型コンクリートの生産というビジョンに一歩近づくことができ、喜ばしく思っています。このプロジェクトは、スイスの持続可能な建設に向けた取り組みのマイルストーンとなると同時に、地域への環境配慮や性輸送ルートの短縮の観点からも高く評価されています」とコメントしてます。

Metall Zug Groupは、「Tech Cluster Zugに産業エコシステムを活性化させる街の一部」 を建設を企画しており、今後は様々な分野の企業、スタートアップ、技術系サービスプロバイダ、教育機関、住宅なども含まれる見込みです。

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