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日立とABBが電力系統の合弁会社設立

株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区)とABB Ltd.(本社:スイス・チューリヒ州)が日本で戦略的な電力系統提携を実現させます。




新しい合弁事業は、日本市場における日立の認知度とABBの高圧直流送電(HVDC)技術を基盤として、日本の新しいエネルギー焦点を導きます。新事業は東京に拠点を設け、日立が元請業者となる日本市場でABBの最新技術を投入したHVDCプロジェクトのDCシステムに関する設計、製造、市場への供給、そしてアフターサービスを担う予定です。日立とABBは資本金の出資比率を1%と49%とし、日本の電力系統改革に貢献する戦略的提携の第一段階としています。両社は、将来的により強固な関係を築き幅広い提携の機会へと発展させていきたいとしています。新会社は各種申請や法令手続きを済ませ次第、数ヵ月以内に始業予定です。

 

戦略的提携の第一段階

 1970年代の開発初期から、日立は日本のあらゆるHVDCプロジェクトに参画し、電力系統の安定化を支え続けました。「世界市場で実績を持つABBとの提携を通じてHVDCビジネスを強化し拡大することにより、日立は日本の電力系統の安定化へ貢献し続けます。」と日立社執行役会長兼CEOの中西宏明氏はコメントしています。HDVCは2つの電力系統間で送電するために使われる技術です。送電側電力は送電前に交流から直流に変換され、受電側のシステムで使用される前に再度交流に変換されます。このシステムは電気損失の最小化、設備の所要面積、そして低い建設費用などの要素から長距離送電に適しており、周波数の違う系統との相互接続にも適しています。

再生可能エネルギーの接続
 
世界のHVDC市場は70年代から主に他励式HVDCシステムを活用するなか、2000年以降は自励式システムの開発が進んできました。近年では特に再生可能エネルギーを接続する用途が注目されており、電力系統安定化が可能な自励式HVDC変換システムの需要が伸び、この動きは継続傾向です。
 この技術は長距離の地下・水中の送電や接続に適しており、様々な設備に適合してきています。陸上および洋上風力発電からの接続、本土から離島への接続、沖合油田やガス採掘地、スペースが限られる都市部内の接続、そして、多くの場合海中で接続される他国間との再生可能エネルギーの接続を含みます。系統連携規定に準拠し、受電側の設備を問わず強固なネットワーク接続を確実にします。

日本のHVDC市場でリードする日立
 日本では2006年までにHDVCプロジェクトが9回行われ、その全てが他励式システムの採用でした。現在、再生可能エネルギーの導入増と電力システムの発展により、沖合風力発電の接続や広域送電系統などに適した自励式HVDCシステム設備の需要増加に期待が寄せられています。新しい合弁会社は日立の販売網およびプロジェクト管理、品質管理、供給管理におけるノウハウとABB社最高水準のHVDC技術を統合し、日本の電力システムに革新的な貢献を果たします。日立は日本で行われた全てのHVDCプロジェクトに参加してきました。高い信頼性を要求される日本市場で、日立は、世界でもトップクラスの稼働率であるHVDCシステムの作成に技術開発とプロジェクト管理の分野で貢献してきました。

革命的な直流送電技術
 ABBは60年前にHVDC技術を開発し、その技術を常に進歩させてきました。「世界の約半数の同設備の導入に携わり、HVDCのあらゆる部品の開発と製造を自社で行う能力を持つことで業界のリーダーとしての地位を確立してきました。」とABB社CEO、Ulrich Spiesshofer氏もコメントしています。ABBは今年の8月に開催された在日スイス商工会議所のランチョンで、この 高電圧直流送電分野における自社の優れた技術を発表しています。
 1954年に世界で初めての商業用HDVCをスウェーデンで開通し、90年代に再び世界初の自励式技術(HVDC Light)を発表しました。同社はその他にもこの技術で様々な記録を残しています。長年に渡り、世界のHDVC導入の約半数にあたる100以上のHDVCプロジェクトを手掛け、その総導入電力量1億2千万キロワットを超えています。ABBのHVDC Lightシステムは自励式技術の最先端であり、世界に15ある自励式サイトのうちの14サイトでその技術を提供しています。

 

(出典:在日スイス商工会議所)

 



 

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