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世界最大の高山型浮体式太陽光発電所、2030年操業開始へ

ブール=サン=ピエールの小さなコミュニティは、ロマンド・エナジー社による世界最大のアルプス浮体式ソーラーパーク建設に全会一致でゴーサインを出しました。この決定は、太陽エネルギー生産を新たな高みへと導くことを目的とした、推定工費1億スイスフランの革新的な取り組みを後押しするものです。

61ヘクタールのトゥール湖のうち19ヘクタール(31%)を占めるソーラーパークの未来予想図
61ヘクタールのトゥール湖のうち19ヘクタール(31%)を占めるソーラーパークの未来予想図

高山地帯太陽光発電のパイオニアであるロマンド・エネルギー社は、10年以上にわたって浮体式太陽光発電設備の最前線で活躍しています。トゥール湖での画期的なプロジェクトは、3つの段階に分かれます。まずは2013年、60平方メートルの小規模な試験的建造物から始まり、2019年には2,240平方メートルの大規模な実証プロジェクトに発展しました。この2019年のプロジェクトでは、35の浮体構造物に広がる二面体のソーラーパネルが使用され、高山での太陽エネルギー生産が海面の高さのものよりも最大50%多くなる可能性が明らかになりました。その3年後の結果では30%の増加でしたが、ロマンド・エナジー社のエネルギー・ソリューションの共同ディレクターであるギヨーム・フクス氏は、まったく自信を失うことはありません。

この大規模な太陽光発電設備は、61ヘクタールのトゥール湖の19ヘクタールに及ぶ予定です。このプロジェクトでは、平均6,200世帯分の電力を賄うのに十分な約2万7,000枚のソーラーパネルを使用し、年間22GWhを発電すると見積もられています。これはアントルモン地区の世帯のほぼ90%に相当するものです。

冬場の電力生産への需要、パネルの傾斜、積雪など、さまざまな課題に直面しながらも、実証フェーズから学んだ教訓が依然として大いに役立っています。「実証段階から将来の稼働のために多くのことを学びました。当初のコンセプトは変わらないし、まもなく実行に移す第3段階にも自信を持っています」とフクス氏は述べています。

スケジュール、資金、地域社会の関与

新しいプロジェクトは、2024年春に土木工事が始まり、2025年夏には最初の浮体構造物が設置され、完成は2030年以降になる予定です。この構想は、新しい連邦法、特に連邦エネルギー法に準拠しており、2025年末までに部分的にでも稼働すれば、補助金の対象となる見込みです。補助金により、この大規模浮体式太陽光発電所の総工費はほぼ1億スイスフランになるとされています。

ブール=サン=ピエールのコミュニティーは、このプロジェクトに金銭的な関与はしておらず、今のところ直接的な利益は期待していません。ただし、諸条件はプロジェクトの進行次第で、交渉の余地が残っています。

この取り組みは、ヴァレー州がクリーンエネルギーの革新に継続的に取り組んでいることを裏付けるものです。ヴァレー州は、過去の経験からの学習と継続的改善を繰り返すことで、持続可能なエネルギー解決策を求める世界の中でのニッチ分野を切り拓いています。

 

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